第54章

 白原さんにそう聞かれて、思わず笑いそうになった。

 この身長差、この腕力。もし本気で宮沢詩音とやり合っていたら、あいつに反撃の隙なんてあるはずがない。

 とはいえ、白原さんの心配を前にして、この話をはぐらかすわけにもいかない。

 俺は言った。

『俺は女には手を上げない』

『じゃあ、その顔の傷はどうしたんです?』

 白原さんが不安そうに問い返してくる。

 俺は短く説明した。

『ちょっとした行き違いだ』

『何か支障は出ていませんか?』

 俺は首を振る。

『大丈夫です。白原さん、心配いりません。こっちには専属の広報チームがいます。こういうのは、ちゃんと処理できます』

 顔...

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