第61章

 あの性悪女が階段の踊り場へ息抜きに行っている隙を見て、俺は白原さんに電話を入れた。母屋から、経験のある付き添いをもう2人、宮沢母さんの看病に回してほしい――そう頼んだ。

 もともと宮沢詩音は体が強いほうじゃない。そのうえ眠りも浅い。あのまま長時間つきっきりで病人を看ていたら、さすがに身体がもたない気がした。

 電話口で白原さんは、からかうように言った。

「宮沢さんのことが心配なんですか?」

 俺は即座に否定した。

「違います。ただ、あいつが倒れたら、お婆さんに鍼を打てる人がいなくなるでしょう」

 すると白原さんは、ははっと笑った。全部わかっている――そんな含みをにじませる笑い方...

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