第66章

小村は、私の口からその話を聞いた途端、顔を真っ赤にして怒った。

「詩音さん。たとえ赤村様の案件にサインしなくても、あんな条件だけは絶対に飲んじゃダメです。私は認めません。今すぐ赤村様に電話しましょう。この契約、これ以上交渉する必要なんてないです」

真っすぐすぎる小村を見て、私は言葉を失い、苦笑しながら首を横に振った。

「小村……うちの会社の状況、他の人は知らなくても、あなたは知ってるでしょ。赤村様の契約が取れなかったら、今年の後半は本当に回らなくなる」

「下手したら……社員の給料すら出せない。赤村様はそこをピンポイントで握って、私に譲歩を迫ってるの」

私の諦めにも似た口ぶりに、小村...

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