第72章

 お母さんの勝手な縁談――いわゆる「押しつけのお見合い」には、正直うんざりしていた。

 私はどっと疲れて椅子に腰を下ろし、呆れ混じりに言う。

「お母さん、病気なんだからちゃんと休んで。私のことは私が決める。男の人を紹介してもらう必要なんてない」

 それを聞いたお母さんの顔が、みるみる不機嫌に曇った。

「私だって好きで寝てるわけじゃないよ! 好きであんたに男を紹介してると思ってるの? あんた、いくつだと思ってるの。自分のこと、少しは考えなさい!」

「周防明広は条件もいいし、家柄だって悪くない。あんたにはもったいないくらいよ」

「いい? これは私が決めたの。これからは周防明広と、ちゃ...

ログインして続きを読む