第75章

「院長に文句を言いに行ったところで、何になるの? あなたみたいな家政婦が、院長に直談判できる立場だと思ってるの?」

「ついでに教えてあげる。あなたのお母さんを病院から追い出したのは、空野家が動いたからよ。あなたのお母さんが出ていかないと――うちのお母さんが、あなたのお母さんの病室に入れないもの」

「……あ、言い忘れてた。私、ここの院長なんて知り合いじゃないの。森原覚が、口を利いてくれたのよ。院長だって森原覚の顔があるから、あなたのお母さんを退院させて、うちのお母さんのために病室を空けたの」

空野朱音はそう言い切ると、口元に笑みを浮かべた。

私は怒りで頭が真っ白になり、拳を強く握りしめ...

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