第80章

『森原覚。いじめる男は見てきたけど、あんたみたいないじめ方は初めてだ』

『普通は外の人間をいじめるもんだろ。なのに、よりにもよって自分の女をいじめるなんてさ。そんな男、見たことない』

 小村川人は明らかに怒っていた。そう吐き捨てる額には青筋が浮き、今にも俺を噛み殺しそうな勢いだ。

 宮沢詩音が赤村奥様のために、そこまで手を尽くしていたことには正直驚いた。まさか今回の提携のために、半月も前から仕込みを始めていたなんて。

 だが、小村川人がしゃしゃり出て彼女を気遣おうとした瞬間、俺の腹の底は一気に煮え立った。

 小村川人の過剰な反応など、視界にすら入っていないふりをして、俺は軽く言い放...

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