第82章

 俺がそう言い終えるより早く、宮沢詩音がふいに俯いた。空いていた片手が、がしっと俺の髪を掴む。

 次の瞬間、彼女は身を低くして俺の上に覆いかぶさり、吐き捨てるように罵った。

『私の寝室で、ほかの女とイチャついて……あんたのほうが先に興ざめさせたって、思わないわけ?』

 詩音の声には、責める色が滲んでいた。

 俺は思わず、からりと笑う。――ああ、そういうことか。

 さっきまでノートPCを抱えて平然としてたのは、強がりだったんだろう。

 この女。結局、俺のこと気にしてるじゃねえか。

 髪を掴まれても止めなかった。むしろ、その乱暴さが、理由もなく俺の神経を煽る。

 ベッドの上で野生...

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