第87章

頭の中で、勝手にいろんな光景を作り上げてしまう。

今ごろ空野朱音は、森原覚の腕にでもしがみついているのだろう。会場では各社の記者が、森原覚と空野朱音のツーショットを狂ったように撮りまくっているに違いない。きっと明日の朝には、森原覚と空野朱音の噂が、この街の一面を飾る。

……とにかく、私は不機嫌だった。

この感情に飲まれないよう、深く息を吸って胸の奥を落ち着かせる。会社のスタッフに目配せして告げた。

「……次の進行、始めましょう」

この会議は、時間をかけて準備してきたものだ。たとえ来客が小村川人と赤村奥様の二人だけだったとしても、こちらが用意したものはきちんと見せる。そう決めていた。...

ログインして続きを読む