第90章

 私の言葉を聞いた瞬間、佐藤若様の表情がすっと沈んだ。

 彼は視線を上げ、社内で慌ただしく動き回るスタッフたちを一瞥する。空野家のところと比べれば、こちらは人数が半分どころか、それ以上に少ない。

 私が言った通りだ。うちの会社は小さい。案件が重なれば、正直、手が回らない。

 佐藤若様は眉をひそめた。

『……ふん。俺だって空野家のデザイン会社と契約したいさ。けど、あいつらの作るものは、お前らのと比べたら――犬のフンみたいなもんだ』

 言い切った直後、佐藤若様は自分が失言したと気づいたらしい。

 空野朱音との付き合いを考えれば、今のは彼女の顔に泥を塗る発言だ。

 とはいえ、内容自体...

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