第91章

空野朱音の言葉に、森原覚の整った眉が、またわずかに寄った。表情を見ればわかる。今の彼は、少し苛立っている。

森原グループの次期後継者。いまは芸能界の道を歩んでいるとはいえ、ビジネスの現場に疎いわけがない。

本来なら、今日うちの会社が開いた宴会で、設計の専門的な説明をするのはデザイン部の部長が適任だ。なのに最後に壇上へ立ち、ろくに慣れてもいない説明をしたのは――私だった。

森原覚が、事情を察せないはずがない。

私に多少なりとも設計の下地があって、ずっとこの業界でやってきたから、まだ形になっただけだ。そうじゃなければ、恥をかくのは私で決まりだった。

私は腕を組み、空野朱音と森原覚の前に...

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