第93章

 お母さんにそう聞かれて、さすがに言葉を失った。

 ――まさか「森原覚とは夫婦です」なんて、言えるわけがない。

 お母さんを安心させたくて、私はとっさに口をついた。

『私とあの人、別に何でもないよ……』

『はあ?』

 お母さんの声が尖る。

『じゃあ、前に「付き合ってる」って言ったのは何だったの? 私を騙したの? それとも……人に言えない付き合い方をしてるの?』

 氷みたいに冷たい視線が、私を刺した。

 どう答えればいいのか分からない。怒りで赤くなったお母さんの顔を見て、私はできるだけ平坦に言う。

『お母さん、そんなふうじゃない。お母さんが想像してるのとは違うから』

『じゃ...

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