第94章

『周防明広が自分の力だけで佐藤副会長に取り入ろうって? 身のほど知らずもいいところだ』

 俺は鼻で笑い、そう吐き捨てた。

 電話口の葉山瑞が一瞬ためらってから、続ける。

『森原様、もう一つ……気になることがありまして』

『何だ』

『周防明広は……あまり素行が良くありません。助手の黄前桜という女と、かなり親密な様子で……』

『写真も何枚か撮れました。……若奥様に、お見せしますか?』

 葉山瑞の声には迷いが滲んでいた。

 俺は少し考え、結論を出す。

『送るな。あいつ、ここ数日機嫌が悪い。お前が用意した写真だと知ったら、感謝どころか――こっちがわざと同級生を陥れたって疑う』

『...

ログインして続きを読む