第96章

家の中にあった、宮沢詩音の私物が――跡形もなく消えていた……。

それを目にした瞬間、胸の奥がぎゅっと掴まれたみたいに痛んだ。

以前は、宮沢詩音が毎日そばにいるのが当たり前すぎて、彼女の存在がどれほど大きいのか、考えたこともなかった。

なのに。

彼女が「自分のもの」を全部持っていったとわかった途端、唐突に理解してしまった。

――俺は、いつの間にか彼女を好きになっていたんだ、と。

彼女が隣にいる日々に慣れていた。

耳元で囁き合い、肌が触れ合う距離で暮らす、その生活が――好きだった。

眠気は一気に吹き飛び、代わりに、遅れてきた苛立ちが胸に湧き上がる。

それ以上に、詩音の身の安全が...

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