第7章
幸村真尾は監視室の床に膝をついていた。両手を固く握りしめ、爪が手のひらに深く食い込んでいる。椿の最期の光景が、焼きごてのように彼の網膜に焼き付いていた――懇願するような瞳、震える指先、そして、二度と返されることのない言葉。
「真尾……愛してる……」
「くそっ!」
彼は跳ねるように立ち上がり、壁に拳を叩きつけた。拳から血が滲む。だが、椿にしてしまったことに比べれば、こんな痛みなど何でもない。無に等しい。
近くで須藤葵が静かに監視機材を片付けていた。彼女の目は涙で赤く腫れている。
「幸村真尾、椿は……最後まであなたのことを守っていました」
「俺を守ってただと?」
幸村真尾は...
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