第6章

キラ視点

 潮風が、容赦なく叩きつけてくる。

 崖っぷちに立つ私の下には、荒れ狂う海。波が次々と岩礁へぶつかり、数メートルの白い飛沫を炸裂させた。

 デイモンが目の前にいる。距離は三メートルもない。

 ひどい有様だった。シャツは雑巾みたいに皺だらけで、顎には無精髭、目の下には濃い隈。いつも冷たく傲慢なAlphaが、ゴミ捨て場で三日転げ回ったみたいな顔をしている。

「戻ってこい」

 掠れた声。

「やだ」

「キラ――」

「やだって言った」私は睨み据える。

「わかんない?」

 デイモンは息を深く吸い込んだ。感情を押し殺そうとしているみたいに。

「俺が間違ってた。火笼のこと、...

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