第012話これは誰の車?

夜八時。味覚バーの外。

夜の八時を告げる鐘が鳴ると同時に、味覚バーは熱気に満ちていた。エリックが入口をくぐった途端、耳をつんざくような爆音が押し寄せる。こういう空間は正直、好きではない。音と光がどっと身体にまとわりつき、感覚を乱暴に撫で回してくる。それでも今は書き入れ時で、店内は客でぎゅうぎゅうだった。

「エリック、こっちだ!」

騒音の壁を割ってカイルの声が届く。カイルは大きく手を振り、必死にこちらの注意を引いていた。エリックは軽くうなずき、人の波をかき分けて一直線にカイルのテーブルへ向かう。

席に着くなり、カイルはエリックの耳元に顔を寄せ、喧噪にかき消されそうな声で囁いた。

「エリ...

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