第037話隠されたアイデンティティ

会社に入ると、エリックはまっすぐ受付へ向かった。そこに立っていた職員がにこやかに挨拶する。

「おはようございます、会長」

エリックは短く問うた。

「クーパーはいるか?」

受付係は愛想よく微笑んで答えた。

「会長、クーパーさんは現在、工事現場の視察に出ておりますが、まもなく戻られる予定です」

「そうか。じゃあ、ここで待つ」

そう言うと、エリックは近くの待合スペースへ歩いていき、席を選んで腰を下ろした。時間つぶしに携帯電話を取り出す。

数分後、金縁の眼鏡をかけた男も待合に入ってきて、エリックの正面に座った。

「あなたもパワーグループの面接ですか?」

男はエリックを値踏みするように眺めながら尋ねる...

ログインして続きを読む