第053話瞬間をとらえる

エリックの声は大きくはないのに、疑いようのない威厳を帯びていた。彼がオーロラを腕の中に抱き寄せると、彼女は小さく震え、頬を濃い桃色に染めた。こんなふうに抱きしめられたことなど、これまで一度もない。それでも彼女は抵抗せず、エリックに身を任せて寄り添った。彼がそうするのは、二人の芝居をより本物らしく見せるためにすぎない――そう理解していたからだ。

自分が焦がれてやまない女が、別の男の腕に収まっている。その光景を前に、マイケルは嫉妬に焼かれていた。何度も夢に見た場面なのに、状況を変える力はどこにもない。

「俺の言ったこと、理解したか? 答えろ」

氷のように冷たいエリックの声が響き、マイケルに返...

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