第060話エリックの名でいく

「ティナ、どうしてお前が、そんなみすぼらしい貧乏人を恋人に選ぶのか、俺にはさっぱり理解できないな」

フレッドは首を振り、信じられないといった調子で言い放った。唇にはどこか戯けた笑みが浮かんでいる。同じ部屋にいるほかの裕福な御曹司たちからも、似たような声が漏れ、疑念が重たく宙に滞った。

マイケルは胸の内でそっとため息をついた。エリックが貧乏だなんて、どう考えても見当違いだ。なにしろ彼はパワー・グループの新任会長で、あの重鎮ショーンの孫なのだから。

だが、マイケルは何も言わなかった。エリックが入室したとき、視線が合った瞬間に鋭く睨まれた。自分から身分を明かさないということは、黙っていろという...

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