第5章
大輝の目が私の目を真っ直ぐに見据えた。ペットボトルに口をつけたまま、その動きがピタリと止まる。彼はそれをゆっくりとフェンスの支柱に置き、私へと歩み寄ってきた。
「もしもの話、か?」低く沈んだ声。彼の親指が私の手首をそっとなぞる。
「俺ならお前を地の果てまで追いかけるよ、結衣。駆け引きなんてしない。本気で俺のものにする」
心臓がドクンと跳ねた。追いかける――その言葉が耳の奥に残り、心の無防備な部分を強く引っ張る。直哉は決して私を追いかけたりしなかった。彼はいつも当然のように待っているだけだった。まるで私が彼に尽くすのが義務であるかのように。
込み上げる熱を感じながら、ごくりと息を...
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チャプター
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3. 第3章
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