第6章

「直哉から電話があった。これからはもっと頻繁に顔を出すかもしれないってさ。俺が君のレッスンに『熱を入れすぎてる』と思ってるらしい」

 胃がひっくり返るような思いがした。昨日のバスタブでの記憶――私に触れる彼の手、跳ねる水しぶき――がフラッシュバックする。

 直哉は何か見たのだろうか? あの転倒のあとのハグを。

「熱を入れすぎてるって、どういう……?」私はどうにか言葉を絞り出し、声を平坦に保った。

 彼は一歩近づき、目を細めた。

「君が教えてくれよ、結衣。あいつは疑ってるのか? 昨日あいつが俺に向けたあの視線……まるで恋敵でも値踏みするような目だったぞ」

 私は膝から力が抜け、ソフ...

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