第十五章

彼女が自分に気づいた瞬間、マッテオにはわかった。半開きのピンク色の唇から漏れた、かすかな喘ぎ。鼻の上に危うげに載った眼鏡の奥で、大きく見開かれた瞳。まるでささやきひとつで床に崩れ落ちてしまいそうに、テーブルの縁を握りしめる指。マッテオは笑みを浮かべ、ゆったりと椅子にもたれかかると、片目を閉じてみせた。

じわりと赤みが、白いボタンダウンシャツの開いた胸元から上っていく。食欲をそそるようなその色は、彼女の胸から首筋を伝い、頬骨に沿って広がった。部下たちの視線が自分に注がれているのを感じる。何が起きているのかと訝しんでいるのだろう。彼らのほとんどが、自分が笑うところなど、ましてや女相手に笑いかける...

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