第五十三章

ジェネヴィーヴはテキーラのショットをまた一杯あおると、グラスをバーカウンターに叩きつけた。「それで彼にデートに誘われて、オーケーしたの」ジェンは肩をすくめて言った。「で、今に至るってわけ」

クラブに鳴り響く大音量の音楽が、バーカウンターの後ろに並んだ酒瓶を揺らしていた。どこを見ても、男女が親密な様子で絡み合っているのが目に入る。レオの姿は見えなかったが、彼からは自分が見えていることはわかっていた。マッテオとのいきさつを妹に話している間、彼の耳に入らない距離にいてくれてよかったと、ただそう思った。話の間にジェイダが溜め込んでいたに違いない、罵詈雑言の嵐を待ち構えた。

ジェイダは三杯目のロング...

ログインして続きを読む