第五十四章

レオの緊急信号が、マテオの精神を突き刺した。正気を蝕み、筋肉を凍りつかせる。パニックボタンは、父が家業を継いだときに導入したものだった。妻と子供たちを護衛する者たちが、万が一拘束された場合でも、即座に助けを呼べるようにするためだ。その装置は、ファミリーの上級幹部全員に、位置情報付きの一斉信号を送信する。友人の祖父母が身に着けていたライフアラートとかいう装置に似ていた。マテオとトニーは、護衛たちがその装置をシャツの外に着けているのを見ては、容赦なくからかったものだ。次に生まれる孫はいつなんだ、とレオに何度尋ねたか覚えていない。

視界の隅でルイが何か叫んでいるのが見えたが、何も聞こえなかった。鳴...

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