チャプター 6
ジェンはゆっくりと目覚めながら、体を伸ばした。瞼が震え、窓から差し込む柔らかな光に目を細める。そして、ガバッと跳ね起きた。
ジェンはシーツを胸に抱き寄せた。心臓が金槌のように鳴り響く。見知らぬ部屋を見回すと、昨夜の出来事が洪水のように蘇ってきた。あれはすべて、本当に起こったことなのだろうか？ 見ず知らずの男が泣くのを、自分は抱きしめていた？ 彼は本当に、一晩中、自分に指一本触れなかった？
ジェネビーブは部屋を見回したが、彼の姿はどこにも見当たらなかった。彼女は自分の裸の上半身に手を滑らせる。肌を覆っているのはブラジャーだけだった。いつ彼のパーカーを脱いだのか、思い出そうとした。ジェンは部屋を歩き回り、ハンドバッグと携帯電話を探した。最悪。彼のコート用クローゼットの中、階下だ。バスルームで自分のドレスを見つけ、その窮屈な生地を体に滑り込ませるように着た。髪を無造作にお団子にまとめ、鏡に映る自分を見てうめき声を上げる。まさか実の妹の結婚式に、こんな格好で恥ずかしい思いをしながら向かうことになるなんて。ジェイダ！ 今が何時なのかもわからない！
「最悪！」ジェンは悪態をついた。
ジェンは静かに部屋から忍び出た。壁に寄りかかり、耳を澄ます。フライパンがぶつかるような音が聞こえた気がして、慎重に階段を下りていった。廊下の先を見ると、ベーコンの焼ける匂いが漂ってくる。コート用クローゼットを開けて自分のコートを取り出し、ハンドバッグから携帯電話を引っ張り出した。不在着信が十七件、テキストメッセージの通知が二十八件。妹からのメッセージを急いで確認する。どこにいるのか、無事なのかと問い詰める内容ばかりだった。
最後のメッセージはこうだ。
ジェイダ：もういいわ、ジェネビーブ・ベル・シンクレア！ 三十分以内にここに来なかったら、警察を呼ぶから！
「まずい」ジェンは小声で呟いた。彼女は急いで妹に返信を送る。
ジェン：大丈夫！ 警察は呼ばないで！ ホテルに寄る必要があるから、一時間後にはそっちに着く！
妹の入力中を示すマークが現れては消えるのを見つめる。
ジェイダ：ああ、よかった！ 彼に殺されたかと思ったじゃない！！ 今すぐ来て！ 私の結婚式なのよ、こっちはマロリーのせいで頭がおかしくなりそうなのに！！
ジェンは微笑み、それから廊下の先へと視線をやった。右手のドアを見る。このままこっそり抜け出すこともできる。ワンナイトスタンドの作法って、そういうものではなかったか？ でも、これはワンナイトスタンドだったのだろうか？ 昨夜の彼の言葉を思い出す。内側からドアが開けられると通知が届く、と彼は言っていた。ジェンはため息をつき、彼の立場になって考えてみる。昨夜のことは、一夜限りの関係じゃなかった。少なくとも、さよならくらいは言うべきだ。
ジェンは廊下を進んでいくと、彼が鼻歌を歌っているのに気づいた。戸口に足を踏み入れると、彼は背中をこちらに向けて立っていた。昨夜、自分が着たまま眠ってしまったパーカーを着ているが、ズボンは履いていない。黒のボクサーブリーフが彼の太腿と臀部にぴったりとフィットしていて、ジェンは自分の太腿の下にあった彼の感触を思い出さないように努めた。
「おはよう、きれいな人。よく眠れたかい？」マッテオは背中を向けたまま尋ねた。
「ええと、まあまあかな。あの、こんなこと言いにくいんだけど、私……」ジェンが言いかけた。
マッテオが振り返り、ジェンはその屈託のない笑顔に息を呑んだ。昨夜の予感は正しかった。彼の笑顔は、彼女の膝をがくがくさせ、心臓を胸の中で高鳴らせる。これが本当に同じ男？ えくぼなんてあったっけ？！ 彼は彼女の表情を見てくすくす笑いながら、ベーコンの皿をキッチンアイランドに置いた。
「私……」
「もう行かないと？」彼は彼女の言葉を続けた。ジェンは、彼がベーコン、エッグ、チーズのベーグルサンドイッチを作り始めるのをうっとりと見つめていた。彼はベーグルをパーチメント紙で包み、彼女の方へ大股で歩いてくる。「持ち帰り用に作ったんだ」
ジェンは彼が差し出すベーグルを見下ろした。混乱して眉をひそめているのが自分でもわかる。「マッテオ……」彼の微笑みが満面の笑みに変わり、その目に輝く純粋な幸福感に、彼女の混乱はさらに増した。「昨夜は、てっきりあなたが……」
「しないって言っただろう」彼はささやいた。その目は理解に満ちている。
「そうよね、もちろん、わかってるんだけど……」ジェンは首を振った。普段はこんなに言葉に詰まることなんてないのに。もちろん、一夜を共にしたのに本名すら知らない半裸の男の前に立っている、なんて状況も普段はないけれど。
マッテオはキッチンアイランドに寄りかかり、ベーグルを隣に置いた。「したくなかったわけじゃない。君が隣にいれば眠れると思ったんだが……」彼の緑と茶の混じった瞳が、彼女の体を上から下へと。胸を通り過ぎ、腰の最もくびれた部分で留まる。視線が跳ね上がり、その中に欲望の炎が灯るのが見えた。「君が俺のパーカーを脱いで、体を擦りつけてきたとき、俺の体は言うことを聞かなくなった」
ジェンの顔が恥ずかしさで燃えるように熱くなった。「うそ。じゃあ、あなた、眠れなかったの？」彼女は呆れて尋ねた。
マッテオはくすくす笑った。「俺の夢を見ている君を眺めているほうが、ずっと楽しかったよ」
「見てないわ……」
「俺の名前を呻いてたよ、かわいい人」
彼はパーカーのポケットに手を入れ、携帯電話を取り出した。画面に目を落とし、メッセージを読む。一瞬、失望の色が表情を横切り、彼は彼女を見上げた。
「ええと、タクシーが来たみたいだ」
「タクシーを呼んでくれたの？」彼女は尋ねた。彼は最後の数歩を彼女に近づき、ベーグルを差し出した。「ありがとう」
彼は肩をすくめ、フーディーのポケットに両手を突っ込んだ。「女を泊めるなんて慣れてないが、それでもタクシーを呼んで家まで送るのが紳士の務めだってことくらいはわかる。結婚式は今から二時間後だろ？」彼はためらいがちに手を伸ばし、彼女の髪を少しすくって肩の後ろへと流した。彼女はまだショックから抜け出せず、こくりと頷いた。「さあ、行こう」
ジェンは彼の後について廊下を抜け、ドアへと向かった。彼がドアを開けて待っていると、案の定、彼のレンジローバーの後ろに黄色いタクシーが停まってアイドリングしていた。彼に向き直った瞬間、彼女の心臓はきゅっと締め付けられた。彼のような男性に、どうやって別れを告げればいいのかわからなかった。
「さよなら、マテオ」ジェンはそう言って、手を差し出した。
マテオは彼女の手が伸び、ためらい、そして引っ込められるのを見ていた。視線を上げると、彼は舌で唇を濡らした。「君が帰る前に、まだ解決しなきゃならない問題が一つある」
ジェンが眉をひそめると、彼はタクシーの運転手に指を一本立てて見せた。再び彼女に視線が戻ったとき、その眼差しの強さに彼女は身震いした。彼が一歩近づくと、ジェンは本能的に後ずさった。だがそれが彼を怯ませるどころか、その眼差しはさらに捕食者のように鋭くなった。
「ブライズメイドのドレスはどんなのだ？」彼はまだ歩みを止めずに尋ねた。
「えっと……ネイビーブルーだけど？」
彼女が玄関ホールの壁に背を打ちつけ、もう逃げ場がなくなると、彼はにやりと笑った。彼女の頭の横の壁に片方の手のひらを平手でつき、彼女を閉じ込める。
「どこまで開いてる？」彼はそう問いかけながら、ゆっくりと指を彼女の鎖骨から胸の方へと滑らせた。彼の指が灼熱の軌跡を描いて下へと降りてくるにつれ、彼女の呼吸が速くなる。
「そこまで」彼の指が胸の柔らかな肉に触れた瞬間、彼女は喘いだ。
彼の視線が下に向き、指が左右に動くのを感じた。まるで後でわかるように印をつけているかのようだ。視線が上がった瞬間、彼は彼女の首をぐいと引き寄せ、その唇を彼女の唇に重ねた。マテオは彼女の驚きの喘ぎを吸い込むように、巧みに唇を動かした。ジェンはハンドバッグを落とし、彼のフーディーを両手で掴んで、さらに自分の方へと引き寄せた。彼の胸の奥で、満足げな低い唸り声が響く。なんて、キスのうまい人。この夜から他に何も覚えていなくても、彼のしなやかな唇の感触や、こじ開けるように侵入してきて彼女の舌と絡み合った舌の動きだけは、決して忘れられないだろう。
彼が離れると、彼女ははっと息を呑んだ。彼の唇が彼女の首筋へと移る。下へと移動していくにつれて、彼女の呼吸は短い喘ぎに変わった。そして、彼の歯が肌を捉えるのを感じた。ジェンは彼の体に身を反らし、彼の絹のような髪に指を差し入れて、さらに引き寄せた。彼が胸元の敏感な肌を吸う。しばらくして彼が離れると、その体重で彼女を壁に押し付けた。二人とも激しく息を切らしていた。もし昨夜、彼がこうしてキスをしていたら、ただベッドで隣で眠ったという事実以上に、消化すべきことがたくさんあっただろうと彼女は思った。
彼の荒い息が耳にかかり、彼は呻きながら勃起したそれを彼女の腰に押し当てた。彼女は震えた。「これで、完了だ。俺たちが一緒に夜を過ごしたっていう証拠だよ」
マテオが身を引いた。そして、まるで抑えきれないかのように、彼女の唇にもう一度だけ優しいキスを落としてから、さっと一歩後ろに下がった。玄関ホールに風が吹き込み、昨夜から着ていた薄いコート姿の彼女はぶるりと震えた。彼の眉が心配そうに寄せられる。彼女が止める間もなく、彼はフーディーを頭から引き抜き、ほとんど彼女を窒息させるような勢いで着せようとした。彼女はすぐに、もうすっかり馴染んでしまった、彼だけのタバコと蜂蜜の混じった、むせ返るような香りに包まれた。
ジェンが彼の申し出を断ろうと口を開くと、彼は彼女の方に身を傾け、その頬に優しいキスをして彼女を驚かせた。彼の親指がフーディーの下で彼女の腰をさする。
「君のドレス姿、見たかったな。きっと息を呑むほど綺麗だろう」彼は彼女の耳元で囁いた。「楽しんでこいよ」
マテオは再び後ろに下がり、ボクサーパンツ一枚の姿でドアの脇柱に寄りかかった。彼女は悲しげな別れの言葉を囁きながら、顔を赤らめた。彼女は階段を下り、タクシーへと歩み寄った。ドアを開け、最後にもう一度だけ振り返ってみる。彼は戸口から、切望と決意の入り混じった表情で彼女を見続けていた。彼女は軽く手を振ると、タクシーに乗り込んだ。ドアが閉まるやいなや、彼女はフーディーを鼻に押し当て、深く息を吸い込んだ。
「どちらまで行かれます、お嬢さん？旦那さんはご存じないとのことでしたので」年配のタクシー運転手が、縁石から車を発進させながら尋ねた。
ジェンは、車が右に曲がってダウンタウンに向かうまで、戸口から自分を見送る謎めいた男から目を離さなかった。
「フォーシーズンズまで、お願いします」彼女はついに答えた。
ジェンは座席に深くもたれかかり、彼のフーディーのポケットに手を入れた。小さな紙切れの感触があり、それを取り出した。
マテオ
555-772-9841
ジェンはその紙切れを見つめた。胸が張り裂けそうだった。自分がニューヨークに住んでいないことも、もう二度と彼に会うことはないだろうということも、彼には伝えていなかった。起きたことは一度きりの関係だと、彼ならわかってくれるだろうと思っていた。ジェンはため息をつき、窓を開けた。メモを半分に破り、冷たい空気の中へとひらひらと舞わせる。目を閉じ、座席に倒れ込んだ。もう二度とマテオに会うことはないのだとわかっていた。そして、その考えが、これまでのどんな失恋よりも心を痛めるのはなぜだろう、と彼女は思った。
