第六十三章

マッテオはその日三つ目となる花壇の土を耕し終えた。堆肥を均等に撒き、栄養豊富な土を丁寧にならす。また一つ、花壇が片付いた。残りはあと九つ。右隣では、ヘンダーソン夫人が自分の花壇の準備をしながら、マッテオの知らない古い曲を口ずさんでいるのが聞こえた。二人は黙って作業していた。いつもそうだった。

彼女と出会ったのは、夫君を亡くした数年後のことだった。庭を使わせてほしいと懇願する手紙が、彼のドアに残されていたのだ。夫は生前ずっと頼みたいと思っていたが、勇気が出なかったらしい。マッテオはその申し出を断ることができなかった。彼女は鍵を持つ三人の中の一人だった。

マッテオは四つ目の花壇から防水シートを...

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