第六十四章

ジェネヴィーヴはフランキーが指さす方、数メートル先のベンチへと視線を向けた。そこに座っている男の姿に、彼女はわずかに息をのんだ。右腕を吊り下げている。彼女は駆け出した。レオは、彼女が近づいてくるのに気づいてベンチから立ち上がった。あと数歩というところで、彼女は急に立ち止まり、彼の全身をざっと見渡した。

「あの……ハグしてもいい? それとも、痛むかしら?」彼女ははにかみながら尋ねた。

「大丈夫だと思う」レオはそう言うと、彼女が入ってこられるように左腕を広げた。ジェネヴィーヴはそっとレオの腰に腕を回す。「でも、長くはなしだ」レオは彼女の頭の上でささやいた。「フランキーがチクるからな」

ジェネ...

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