第5章 嵐が来る

文化祭が終わって三日目、私は校内の異変に気づいた。

廊下を歩いていると、周囲から奇妙な視線が突き刺さるのを感じる。背後でひそひそ話が始まり、私が振り返ると同時にぴたりと止む。

「あの春野って特待生、神谷くんと……」

「例のアプリのこと……」

「生徒会がもう……」

途切れ途切れの言葉が耳に届き、心臓がぎゅっと締め付けられる。

昼休み、松田さんが緊張した面持ちで近づいてきた。

「春野さん、最近何か変な噂、聞いてない?」

「どんな噂?」

私は平静を装って尋ねた。

「その……春野さんと神谷くんのこと。あと、何かアプリがどうとか」

彼女は声を潜める。

「二人がアプリ...

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