第107章

エル視点

ブラッドの車に乗ってレインの屋敷へ戻る道中は、今までとはまったく違う感じがした。もう彼に反抗していないからかもしれないし、隣に座った母が窓の外に流れる景色に目を丸くしているからかもしれない。いずれにせよ、ブラッドと私の間には心地よい沈黙が流れていて、それが……しっくりきた。

ジェイソンやマリッサのことは聞かなかった。知りたくなかった。葬り去った方がいいこともあるし、あの倉庫で私を見つけたときのブラッドの目を見れば、二人の運命については知るべきことすべてがわかったから。

母の指はしきりにシートベルトをいじっていて、バックミラー越しにブラッドを盗み見しているのがわかった。ものすごく...

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