チャプター 11

エル視点

グレースは私に指を突きつけた。「この馬鹿で間抜けな子! 私たちが馬鹿だとでも思ってるの? ブラッド・レインが私たちの地区の人間を二度見するはずがないでしょ。ましてや番(つがい)にするなんてありえないわ! 本当に妊娠しているとしても、どうせどこかのろくでなしの子よ。コネがあるとか何とか、うまいこと言いくるめられたに決まってるわ!」

「お母さん」私は再びスーザンの方を向き、誰かに信じてほしいと必死に訴えた。「お願い。もう行かないといけないの。向こうで待ってる人がいるのよ」

スーザンの顔には心配の色が深く刻まれていた。「エル、こんな状態であなたを行かせるわけにはいかないわ。もし危険な...

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