第120章

ブラッド視点

ロイのヴィラのバーエリアは、まさに壮観だった。人間の給仕たちが、すでに無数のビールの瓶を開けている。

俺は革張りのソファにゆったりと身を預け、レスターとロイが飲み比べに興じているのを、どこか冷めた面白さで眺めていた。二人のアルファは互いに力を放ち、部屋を張り合うようなフェロモンで満たしていたが、俺の心はここにあらずだった。

ミラが、赤ワインのグラスを二つ手に、優雅に近づいてきた。彼女は俺の隣に、ごく自然な親密さで腰を下ろす。それは俺たちの過去を物語るような近しさだった。

「どうぞ」と、彼女は俺にグラスを差し出した。

俺はワインを受け取った。

ロイがその鋭い目をまっすぐ...

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