チャプター 138

エル視点

心臓があまりに速く鼓動していて、きっと彼にも聞こえているに違いないと思った。立ち上がって、ぞろぞろと出ていく他のカップルたちの間を縫って進むうち、私たちの間に何かが変わったのを感じた。空気が、どこか違う、張り詰めたものに感じられたのだ。

「すごく……」私は言いかけたが、言葉が見つからなかった。

「良かった?」ブラッドが、その琥珀色の瞳で私の顔を探るように尋ねた。

「うん。すごく良かった」

劇場の外に出ると、ひんやりとした夜の空気が肌に心地よかった。彼が通りを見渡し、脅威や望まない視線を探しているであろう横顔を、私は見つめていた。典型的なアルファの行動だ。でも、今夜の彼のあり...

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