第170章

ブラッド視点

俺は匂いの跡をたどり、レスターの仮宿舎へと向かった。祝祭の会場から聞こえてくる笑い声や音楽は、訪れたパックのリーダーたちが宿泊施設を設営しているエリアへと深く足を踏み入れるにつれて、次第に遠のいていった。

電話口のレスターは、珍しいカナダ産のウィスキーを一緒に飲みたいと言って、切羽詰まった様子だった。だが、何かがおかしい。

アルファとしての本能が警鐘を鳴らしていた。

俺は彼のテントの帆布でできた入り口を押し開けて中に入った。旧友がグラスとボトルを手に待っているものだと思っていた。だが、その代わりに俺は凍りついた。

ミラ・コリンズがテントの中央に立っていた。俺に背を向けて...

ログインして続きを読む