第171章

エル視点

若い人狼たちが、代々受け継がれてきたレシピで作った蜂蜜ケーキを運んできてくれた。年配の女性たちは、古代の知恵で瞳を輝かせながら、町の歴史を語って聞かせてくれる。子供たちは私の袖を引っ張り、彫刻された木彫りの動物や、編み込まれたブレスレットを見せようとせがんだ。

周囲では、人狼たちが流れるような優雅さで行き交い、彼らの笑い声が、広場に踊るような影を落とす巨大な焚き火の爆ぜる音と溶け合っていた。

だが、誰もがこの祝祭を楽しんでいるわけではなかった。

集まりの向こう側に、ミラ・コリンズの姿が見えた。

パックのメンバーたちが私をちやほやする様子を見つめる彼女の表情は、ますます険しく...

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