第190章

エル視点

それを皮切りに、堰を切ったようにみんなが今まで食べた中で最高の食事の話をし始めた。

ソフィアは、明らかに本領を発揮して、フロストクロー・パックの縄張りで食べた特別なバーベキューについて皆に語り始めた。「何世代にもわたって受け継がれてきた特別な燻製技術を使ってるの。肉が骨からほろりと崩れるくらい柔らかくて、その風味といったら……」彼女は芝居がかった仕草で指先にキスをした。

周りのおしゃべりが続く中、私は窓の外を眺め、流れていく景色がぼやけていくのを見ていた。距離が離れるにつれて、私とムーンシェイド・ベイとの間が、私が置き去りにしてきた複雑で面倒なすべてとの間が、引き離されていく。...

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