チャプター 191

エル視点

レシートに記された優雅なサインを見つめながら、私はわずかに震える手でスチュワードにクリップボードを返した。テーブルの上には箱が鎮座している。真っ白な箱に結ばれたシルクのリボンは、単なるクルーズの記念品にしてはあまりにも高価に見えた。

「中身、何だと思う?」

スチュワードが廊下の奥へと姿を消したのと入れ違いに、ソフィアが入り口に姿を現して尋ねた。

「さっぱり見当もつかないわ」私は答えた。「でも、この『会社からのランダムな特典』っていう話、なんだか怪しくなってきた」

ソフィアの後ろからアビゲイルが飛び跳ねるように入ってきた。全身から好奇心が溢れ出している。「開けるつもり? それ...

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