チャプター 195

エルの視点

首筋に熱がこみ上げてくるのを感じた。馬鹿げている。妊娠中の身でありながら、ここに座って正体不明の船長に手玉に取られるがままになっているなんて。さらに最悪なのは、実際に私がそれに動揺してしまっているという事実だった。

「今のは、完全に不適切よ」

耳まで赤くなるのを感じながら、私はなんとか厳しい口調を作って言った。

彼はくすりと喉を鳴らして笑った。その深みのある響きに、私のお腹のあたりが奇妙に疼く。

「そうかな? 僕はかなり親切にしたつもりだったんだが」

私が立ち上がろうとすると、手袋をはめた手が伸びてきて、優しく私の肩を押し留めた。

「お願いだ、まだ行かないでくれ」

「それは...

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