第202章

エル視点

船長の指が私の下唇をなぞり、そして優しく顎を持ち上げた。彼の声は温かく、優しささえ感じられた。「今日の君はいいな。とても美しい」

あの忌々しい仮面の下で彼が微笑んだのがわかって、私の頬はまた熱くなった。

「俺の可愛い美人さん」と彼は囁いた。「君の活躍を楽しみにしてる」私が抗議したり、答えを求めたりするより先に、彼は身をかがめ、私の額に柔らかなキスを落とした。「さよならだ」

そして彼は私を解放して背を向けた。まっすぐで優雅なその後ろ姿は、廊下の向こうへと消えていった。

私は馬鹿みたいにその場に立ち尽くし、指が自然と彼の唇が触れた場所に動いていた。そのキスはあまりにも馴染み深く...

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