チャプター 204

エル視点

目の前に立つレスターの顔を、私はじっと見つめた。

「ハリソンさん」私は慎重に口を開いた。「何のお話でしょうか?」

「頼む」彼の声はざらついていた。「レスターでいい。それと、どこか……」彼は船のラウンジエリアにあるクッション付きの椅子の方を指差した。「座れる場所はないだろうか?」

私はあたりを見回す。そこは十分に公共の場所だった。他の乗客もちらほらいて、読書をしていたり、静かにおしゃべりをしていたりする。

「分かりました」私は同意した。

レスターは何も言わずに頷いた。私たちは海を見渡せる大きな窓の近くにある、向かい合わせの椅子へと向かった。

言葉にならない疑問をはらんだ重...

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