チャプター 209

エル視点

審判の時が来た。空気は電気のようにピリピリと張り詰め、その緊張感が肌で感じられた。出場者たちは皆、それぞれの調理台の周りに立ち、デッキの正面に座る審査員団を固唾をのんで見守っている。だが、全員の視線が注がれていたのは、中央に立つ人物――華美な銀の仮面をつけた船長だった。

一人、また一人と出場者が呼ばれ、料理を提出していく。世界的に有名なシェフで構成された審査員団は、簡潔ながらもプロフェッショナルな批評を述べた。その表情は、言葉を発する前から正直な評価を物語っていた。いくつかの料理に向けられる、礼儀正しい失望の顔が私にも見て取れた。

そして、私の名前が呼ばれた。

「エル・ウェス...

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