第二十五章

ブラッド視点

クイーンを最後のマスに滑らせながら、俺は祖母の顔を窺った。「チェックメイト」

エリザベスはしばし盤面を吟味し、やがて優雅に頷いた。俺が負けを意外に思わなかったのは――彼女がプレイしていたのが、盤上の駒とはまったく無関係の、まったく別のゲームだったからだ。

「お父様がよくお教えになったのね」と彼女は言ったが、その薄青い瞳の奥に計算高い光が宿るのを俺は見逃さなかった。

「いえ、この戦術を教えてくれたのはヴィクトリアです」俺はそう答え、その棘のある名前をあえて空中に漂わせた。

「私たちはルーカスを厳しく裁きすぎたのかもしれませんね」エリザベスは話題を変えた。「あの子は、どうあ...

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