チャプター 219

エル視点

背後から腕が回されるより先に、ブラッドの気配を感じた。彼の唇が優しく私の頭頂部に押し当てられる。リラックスを装ってはいるけれど、その体には緊張が走っているのが伝わってきた。

「完璧にこなしているな」。髪に顔を埋めるようにして、彼が深く、独占欲に満ちた低い響きの声で囁いた。

彼のたくましい胸に背中を預ける。その確かな温もりがありがたかった。「先生が良かったから」

彼の腕に力がこもる。

頬に熱が集中する。「ブラッド」と私は声を潜めた。周りの招待客にちらりと目をやる。「人前よ」

彼はクッと笑い、その手を私の腰まで滑らせて落ち着かせた。「それに、今夜のお前はとんでもなく魅力的だ。...

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