第二十四章

エル視点

息が詰まるようなあの部屋の緊張感からようやく逃れ、私はアレックスと二人、静かな一角に身を寄せていた。

「なんてクソ女なの」思わず、汚い言葉が口をついて出た。「今日という日は、ありとあらゆる不運を踏みつけてきたに違いないわ」

アレックスは憤りで顔を赤らめていた。「よくもあなたにあんな口がきけるものです! あなたはアルファであるブラッドの伴侶なんですよ、まったく」

私は深呼吸をして、胸の中で渦巻く感情の嵐を鎮めようとした。「アレックス、よく聞いて。あそこであったことを、絶対にブラッドには言わないで」

アレックスは信じられないというように私を見た。「でも、レイン夫人が――」

「...

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