チャプター 23

エル視点

ビジネスの議論が少し砕けた話題に移ったとき、ソフィアが突然グラスを掲げ、乾杯の合図をした。給仕たちがすぐに駆け寄り、全員のクリスタルのフルートグラスに琥珀色の液体を注いでいく。私の目の前にもグラスが置かれると、心臓の鼓動が早まった。

私はそのグラスを見つめた。不安で胃がきりきりと痛む。

「乾杯しましょう」

彼女がそう言って小首を傾げると、銀灰色の髪が光を受けてきらりと輝いた。

私は躊躇し、グラスへ伸ばしかけた手が宙で凍りついた。この場での正しい作法は何なのだろう? 彼女の乾杯を拒否したら、侮辱と受け取られるのだろうか? この会合の前に人狼(ウェアウルフ)の礼儀作法については...

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