第二六章

ミラ視点

オーディションルームに、私は胸を張って入っていった。

けれど、プロデューサー席に目を向けた瞬間、世界がぐにゃりと歪んだ。

「は? なんなのよ、一体。どうしてあんたたちがここにいるわけ?」

ロイがいるはずの席に座る二人の女を、私は睨みつけた。エル・ウェスト――あの妊娠中の人間の女――は、幅広の眼鏡のせいでほとんど顔が見えない。妊娠七ヶ月の腹は、オーバーサイズのブレザーを着た打ち上げられたクジラのようだった。そしてその隣には、してやったりという顔でソフィアが座っていた。

ソフィアはわざとらしくゆったりと椅子にもたれかかり、銀色の髪がきらりと光を捉えた。これまで聞いたこともない...

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