チャプター 35

エル視点

ブラッドの運転は、私をむち打ち症にさせる気でもあるのかと思うほどだった。さっきまで狂ったようにスピードを出していたかと思えば、次の瞬間にはアクセルを緩め、車は這うような速度に落ちる。スピードメーターの針がまともな数字まで落ちるのを見て、ドアハンドルを握りしめていた手にようやく力が入らなくなった。

この気まぐれなアルファと付き合うのは、本当に疲れる。彼の感情は、テレビのリモコンでチャンネルを変えるよりも速く切り替わるみたいだ。さっきまで完全に仕事モードだったかと思えば、次は……さっきの、顔を真っ赤にして否定していたあれは、一体何だったんだろう。

私は、まだほとんど目立たないお腹を...

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