チャプター 42

エル視点

どれくらいの時間、あのトイレの個室に座り込んでいたのだろう。喉が焼けつくように痛み、目が腫れあがるまで、ただ泣きじゃくっていた。気品のある会社の化粧室に、私の喘ぐような呼吸音だけが響き渡る。落ち着こうとすればするほど、絶望の波がまた押し寄せてきて、新たな涙が溢れ出した。

その時、バスルームのドアが勢いよく開け放たれる音がし、重い足音が続いた。

「エル? ここにいるのか?」ブラッドの声は、私には判別できない何かの感情で張り詰めていた。怒り? 心配? もう、そんなことどうでもよかったけれど。

私は黙ったまま、どんな音も漏らさないように、口に拳を押し当てた。今、一番会いたくない人物...

ログインして続きを読む