チャプター 61

ブラッド視点

レイモンド・カーターが会議室を出ていくまで、俺は平静を装っていた。だが、内心では腸が煮えくり返っていた。

今や、誰に会うべきかははっきりしていた。祖母がこの提携をごり押ししたのだ。その理由を確かめなければならない。

* * *

俺は屋敷の中を嵐のように突き進んだ。レイモンド・カーターがレイン・グループに急に関心を示したことだけでも十分に怪しい。だが、エルへの執着は? それは、俺が自分でも引いたと気づいていなかった一線を越えていた。

祖母の個人書斎の外に、彼女の人間のアシスタントがクリップボードを胸に抱きしめて立っていた。俺が近づくと、彼女は緊張した笑みを浮かべて一歩前に...

ログインして続きを読む