チャプター 82

マリッサ視点

滑りやすいコンクリートの床でブーツが軋む。ボクシングジムからよろめき出ると、背後で重い鉄の扉が音を立てて閉まった。

手首が痛む。擦りむけて血が滲んでいるのは、人狼用の手錠を壊すため、アドレナリンに任せて無理やり部分変化した代償だ。

股間がずきずきと脈打つ。一歩歩くたびに生の痛みが走り、マークのモノと、縛られ猿ぐつわを噛まされた状態で犯された残忍な行為を嫌でも思い出させる。

なんて大馬鹿野郎なんだ。

その場で抱かれる覚悟はできていたはずだった。

でも、猿ぐつわは違った。顎が限界まで開かれ、声を封じられた。

そして、マークが入ってきた。

記憶を振り払おうと目を固く閉じ...

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