第322話

コラ

モーテルのドアを勢いよく開けて飛び込むと、息が上がっていた。ロジャーは素早く振り返り、風に煽られながら苦労してドアを閉めようとしていた。私は息を切らしながら辺りを見回すと、フロントデスクに座っている皺だらけの小柄な男性の驚いた目と目が合った。ロジャーが唸り声を上げながらようやくドアを閉め切ったとき、私はその男性に丁寧な笑顔を向けようと努力した。

「ひどい天気ですね」とフロントの係員が歯のない笑顔を見せながら言った。

「少し控えめな言い方だな」とロジャーは呟き、身を正すと不安そうにドアの方を振り返りながらデスクに向かって歩き出した。私は彼の後に続き、シャツの下に隠した書類に手を当てた...

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